棟方志功記念館

   

秋の展示「詩歌とともにー棟方と文学」

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秋の展示「詩歌とともにー棟方と文学」

2020年9月24日(木)~12月6日(日)

油絵を描いていた棟方志功が板画を始めるようになったのは、川上澄生の版画作品《初夏の風》を見たことがきっかけでした。川上自作の詩が彫り込まれている版画を見たとき、棟方は「いいなァ、いいなァ」と、心も体も伸びて行くような気持になっていたそうです。

棟方は上京する以前から文学を愛する青年で、板画を始めてからも文学者との交友を深めていきました。

棟方の出世作と言える《大和し美し》は、愛知県出身の詩人佐藤一英が新詩論に発表したものを同郷の文学者福士幸次郎を介して制作の許可を得たもので、棟方作品の中でも傑作のひとつに数えられています。

また、富山県福光町(現・南砺市)に疎開していた時に聞いた河童伝説をヒントに「瞞着川」という物語を作り、更にそれを板画に制作するなど、棟方作品には詩歌に触発されて生まれたものがたくさんあります。

交友のあった文学者の作品を板画にしたものや、能・狂言・仏教の経典・自作の歌・俳句など様々な詩歌が棟方作品に生まれ変わりました。

棟方が描いたものは詩歌だけではなく故郷の風物・女人・風景など自身の目に映る様々なものでしたが、秋の展示では、棟方の心に沁み、創作意欲を湧き出させた文学作品に触発されて生まれた作品を紹介いたします。その中に流れている棟方志功の詩心を感じていただければと存じます。

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