青森県立美術館コレクション展2024-1

11月5日より、青森県立美術館でコレクション展2024-1が始まりました。

今回の棟方志功展示スペースのテーマは、「版画誌から板壁画へ―版画の限界を超えて」
普段は棟方志功の多岐にわたる芸業を紹介したいという思いから、倭画や油絵なども展示するようにしていますが、今回はめずらしく全てが板画作品で構成されています。

秋なので資料展示も文化勲章や青森市名誉市民章などに展示替え

棟方志功が版画界に登場した1920年代後期、主な発表の場は版画誌であり、展覧会であっても小品の出品が主流でした。

棟方も当初はそこからはみ出ることなく版画家としての歩みを進めていましたが、独創性を見出し始めた1930年代半ばからは次第に型破りな版画を生み出すようになりました。

今回注目してほしいのが、作品の「大きさ」です。
棟方は板木一枚あたりのサイズを大きくしただけでなく、一点一点は小さくともそれらを連ねて「連作」にすることで一つの大きな作品とする見せ方を確立しました。

展覧会での効果を意識し、一作ごとに大きさや表装にかつてない趣向を凝らした棟方の板画は、狙い通り多くの人々に鮮烈な印象を与え、国内外での評価を高めていくこととなります。

板木サイズでいうと今回の展示で最大

戦後は、複数の板木の組み合わせによる大型板画が制作の中心となりました。

《恐山の柵》板木 4枚を組み合わせて彫り上げている
真ん中の板画が《恐山の柵》

1960年代にはその大きさは一層極まり、展覧会場をさらに上回る広い空間に映えるよう構成された「板壁画」へと発展を遂げ、長らく小品が当たり前とされてきた版画の限界をはるかに超えたのです。

棟方板画の中でも最大の作品《大世界の柵 乾―神々より人類へ》

一方で、本の挿絵や切手デザインなどのために小型の板画も制作しました。

谷崎潤一郎『鍵』の挿絵板画
放送50年記念郵便切手

手に取ることができる小さな板画から、壁面を埋め尽くす大きな板画まで、大小さまざまな棟方板画をお楽しみください。

会期
2024年11月5日(火)~ 2025年2月16日(日)
休館日
2024年11月11日、25日、12月9日、23日、26-31日、
2025年1月1日、14日、27日、2月10日
※第2、第4月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)及び年末年始
チケット
一般 700円(560円)、大学生 400円(320円)、高校生以下無料
※( )は団体料金
青森県立美術館 https://www.aomori-museum.jp/schedule/15161/

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