2月22日(土)より、青森県立美術館コレクション展2024-2が始まりました。


テーマは、「一枚一枚違ってこそ」くり返し摺り、そしてー
棟方が自らの板画に対する考えを述べた言葉に、次のようなものがあります。
「いくつも摺れるということ、摺ることのくり返しが、美しさを増して行くというところに大きなよろこびがあります」
棟方志功『板画の話』(1954年、宝文館)
「一枚一枚違ってこそ『板画』なんだ。板画の良さはそこにあるんですよ」。
石井頼子「還暦の棟方志功」『わだばゴッホになる 世界の棟方志功』(2016年、あべのハルカス美術館)
枚数に際限をもたせず、板木も全て残し、求められれば摺るという型破りな制作姿勢を取った棟方の作品群には、同じ板木を摺った作品でも摺年には隔たりがあるという例も多数存在します。
一方、摺ったら終わりではなく、そこからさらに手を加え、一枚一枚の仕上がりに変化をつけることもありました。例えば一枚は墨摺りのまま、もう一枚は摺った紙の裏から筆で彩色をする(裏彩色)、もう一枚は板木に彫りを加えてから摺る(改刻)…という具合です。時には題名を変えて全く新たな作品として発表することもありました(改題)。展示ではこうした表現手法についても解説しています。


このように、板木は同じでも、摺るたびに様々な手を加えることで、全く違う作品になることがわかりますね。本展では、こうした摺り違いの作品のどこがどう違うのかを探るという、一味違った鑑賞体験を楽しむこともできます。そして、棟方の考える、くり返し摺りつつも一枚一枚違うからこその良さを感じていただければ幸いです。

また、会期中には創作体験や学芸員によるギャラリートークなど棟方作品をさらに楽しめるイベントも予定しています。詳細は青森県立美術館や当財団のHP、SNS等で随時ご案内します。皆様のご来館を心よりお待ちしております。
開催概要
会場
青森県立美術館 地下1階、地下2階展示室
会期
2025年2月22日(土)~ 4月13日(日)
休館日
2025年2月25日(火)、3月10日(月)、3月24日(月)
※第2,第4月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)