7月13日(日)まで開催中の青森県立美術館コレクション展2025-1。
今回の棟方志功展示スペースのテーマは「板極道」です。
また?と思った方もいるかもしれません。
昨年3月に閉館した棟方志功記念館最後の展示も「板極道」でした。
板極道とは、1964年に刊行された棟方志功の自伝です。
その自伝の内容に沿う形で作品や資料を展示していたのですが、会期中にある出来事が起きました。
『板極道』の原稿や挿絵が古書店で売りに出されたのです。
いろいろあって最終的にそれら一式を財団が購入し、今回初めて展示公開することとなりました。

写真右下が『板極道』装丁本と、装丁のための板木。左下が、目次と本文の原稿です。

『板極道』の原稿は口述筆記の形式で綴られています。
棟方が話した内容を録音し、編集者などが録音を聞いて文字を起こし、棟方が加筆修正を入れています。
生の原稿からは、作品制作と同じく筆をとったらとまらない自由奔放な棟方スタイルが見て取れます。
時には原稿用紙四辺の余白を一周するように、または裏面まで伸びた文章が渦のように、元のマス目も見えないほどの書き込みや、次から次に足された文章により読み始めが分かりにくいものまで。

原稿と挿絵、そのシーンに該当する作品を合わせて展示しています。

今回の展示のもう一つのみどころは、
昨年10月に棟方志功記念館から青森県立美術館へと全作品・資料を移すために整理した際
眠っていたオープンリールのテープを発見しデジタル化したところ『板極道』の口述筆記の内容であることが判明しました。
『板極道』の引用文を壁面展示しているので、棟方の肉声を聴きながら文章を追って
『板極道』が出来上がるまでの過程を目と耳でお楽しみいただければと思います。

これら新収蔵・新発見の資料に加え、棟方志功記念館最後の展示を再構築(Re-build)しています。
複合的に厚みを増した展示をご覧になり、没後50年のこの機会に、改めて『板極道』を楽しむ機会となれば幸いです。
青森県立美術館「コレクション展2025-1」
会 期:2025年4月19日(土)~ 7月13日(日)
休館日:2025年4月28日(月)、5月12日(月)、5月26日(月)、6月9日(月)、6月23日(月)
※第2、第4月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)
開館時間:9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
観覧料:一般 700円(560円)、大学生 400円(320円)、18歳以下および高校生 無料
※( )は団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
https://www.aomori-museum.jp/schedule/16191