夏の展示
棟方志功、海を渡る。
2020年7月7日(火)~9月22日(火)
午前9時~午後5時
月曜日(祝日及び9月7日は開館・8月は無休開館)
棟方作品が初めて海外へと渡ったのは1932年、第7回国画会展に出品した版画4点のうち《亀田・長谷川邸の裏庭》が国画奨学賞を受賞し、同作と《亀田・長谷川邸の内園》他1点がボストン美術館、もう1点がパリ・リュクサンブール美術館に買い上げられました。版画を制作し始めてから約5年、棟方はこの出来事が自信となり版画家として立つ決意を固めたといいます。写生に頼らずモチーフを“模様化”すること、白黒の絶対比による美しさ、従来の大きさに捉われない連作という版画表現など、独自の世界を生み出し始めた棟方は版画家として評価されていきます。1952年第2回スイス・ルガノ国際版画展で銅版画家・駒井哲郎とともに日本人初の優秀賞を受賞。1955年第3回サンパウロ・ビエンナーレ、翌年第28回ヴェネツィア・ビエンナーレでグランプリを受賞するなど、戦後の国際展で受賞を重ね世界のムナカタとして一躍有名になりました。棟方作品は海外でも様々な美術館で収蔵されています。
また、棟方は国際的に評価されたことにより1959年ロックフェラー財団とジャパン・ソサエティの招待で初渡米を果たします。「アメリカへ着くまでに見たいところがあったのです。それは何かというと、パナマ運河を見たいと思いました。」と一番先に願った棟方は、文字どおり海を渡ります。旅の感想を聞かれたときパナマ運河は最も感動したものだと話すほどその壮大さに嘆じ、船中では数十枚もスケッチを描きました。約10か月間のこの旅で棟方は夏休み中にヨーロッパへも足を延ばし5か国を巡りました。念願だったゴッホの墓も詣でることができ、日常と違う旅先では創作意欲が刺激されたのか膨大な量のスケッチや新たなモチーフの展開、リトグラフへ挑戦するなど制作の巾を広げます。棟方は生涯でアメリカへ都合4回、晩年はインドにも旅行し想を得ることで多くの作品を残しています。
夏の展示では、棟方が国際展で受賞した作品や、海外で制作・取材した作品をご紹介します。
主な展示作品
《湧然する女者達々》より湧然の柵 板画
1953
《ホイットマン詩集抜粋の柵》板画
1959
《ニューヨーク近代美術館図》倭画
1967
《二人の女》石版画
1967
春の展示
※7月5日まで延長
夏の展示
秋の展示
冬の展示
2021年3月14日(日)