3/15(日) 棟方志功の技法を体験する「墨による裏彩色」ワークショップ を開催しました。

「墨による裏彩色」とは?
志功さんは、板画の裏側から手彩色で色をしみ込ませる「裏彩色」という技法で板画に色をつけました。
これは、色を塗るのではなく紙の表側に色をしみ込ませることが目的のため、水分量が肝になってきます。
水が少ないといくら濃い色に見えても表側にはあらわれません。
また、水が多いとにじみが広がって思うように色付けできず、乾くとうっすらとした色になります。
色付けに用いるのは顔彩ですが、「墨による裏彩色」ではもちろん墨を使います。
裏彩色と同じく水分量が肝になりますが、固形の顔彩と違って液体の墨に水で濃淡調節をするため、水分量の扱いが難しくなります。
そしてそもそもの板画の摺りと同じ色を使うので、濃淡によっては部分的につぶれてしまったように見えます。
筆の扱いも難しく、ワークショップとしては難易度の高い技法です。

志功さんはスポットライト的に目線を誘導したり、

絵を描くように濃淡をつけています。
筆の動かし方もさまざまです。

《9大磯:ベアティ急雨の柵》では、縦に長く早いストロークで急な雨を表しています。

白と黒のバランスを考えるように大胆に墨を置いたり、

街の空気感を漂わせるように全体に薄くかけたり、

白いモチーフだけでなく黒いモチーフの上にも墨をかけて全体の雰囲気を整えています。

初めから墨による裏彩色の効果を狙ってか、白の面積が多い板画も。
なので「墨による裏彩色」ワークショップでは、その効果を楽しむために白の面積が多い版画づくりをおすすめしました。
なぜ裏から墨をさしていると分かるのか?
通常の裏彩色では、表の墨の線がつぶれていない=裏からの彩色であることが分かります。
違う色が重なることで、色がのった順が目に見えて分かるからです。
しかし墨による裏彩色はすべてが墨によって行われるため、同じように見分けることは難しくなります。
なぜ裏からだと分かるのか。

屏風や額などに仕立てる前の紙の状態の作品も収蔵しているので、実際に裏側から確認することができるからです。
ワークショップでは、展示室で作品を前に解説した後、該当のまくり作品(仕立てる前の状態の作品)を見ながら理解を深めることもあります。
この作品はサインも落款もあるので裏表が分かりやすいですね。
比べてみると、板画で摺った部分以外の、手による墨づけの部分は、表側だと薄くなっていることを確認できました。
しかし技を見たからといってできるというわけではありません。

墨による明暗ととらえて彩色した人、アクセントとしてかすれやにじみにチャレンジした人、墨による加筆も楽しむ人
参加者の皆さんは試行錯誤しながら墨による裏彩色体験を楽しんでいました。
今年度は毎月1回、棟方志功の技法を体験するワークショップや、版画に関するワークショップ、創作ゲーム体験などを開催しました。
来年度も皆さんといっしょに棟方志功を見て知って試して楽しみたいと思っていますので、
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
