青森県立美術館で開催中のコレクション展2026-2
棟方志功展示スペースのテーマは、「溢れ漲る歓びの筆はあらゆるところに」。
棟方の自由奔放な筆の動きをご紹介しています。

1964年出版の自伝『板極道』の中に、このようなエピソードがあります。
「だいじな襖へへっぽこ絵描きが絵を描くとはなんということです。いずれはこの襖をはり替えしてもらいます」
棟方志功「苦闘の日々」『板極道』、1964年、中央公論社
1934年頃、出品した版画が海外美術館の買い上げとなったり雑誌で棟方志功特集が組まれたりと、版画家として一歩踏み出し腕を振るいたい衝動を抑えきれなかった棟方は、借家の4枚の襖に蛸の群游図を描きなぐり大家さんから猛烈な抗議を受けました。それにもかかわらず、今度は見えないところに……と懲りずに厠へ観音様を描いています。

厠に観音様を描くことはその後恒例となり、どこに住んでも厠に観音様を描いていますが、疎開先の富山県では初めて自分の家を持った歓びから、板戸や柱、障子、風呂桶やまな板の裏まで、厠のみならず家中に筆を走らせました。
そんな歓びの筆は、日用品にも。


ふるい、ところてんつき、お手製のアイロン台、、、
棟方は人からもらった物に年月日、誰から、一言などを筆で書き入れることも多く、日用品のほか、愛蔵書にも書き込みが見られます。自身の画集には色も使いながら、「妻チヤへ」装飾を施しています。


板木を収める箱もこのとおり、カステラの箱にびっしりと文字を書き入れています。

屏風を収納する木箱にも書かずにはいられません。屏風や掛け軸、巻物など、自分の作品だけでなく愛蔵品の箱にも書いています。

身体を動かしダイナミックに筆を揮った作品や、想いがあふれる本への装飾、それとは対照的な仕事としての装丁本のほか、普段は公開しない箱書きや屏風箱にまで及ぶ筆の跡など、日常から地続きになった自由奔放な筆の動きにご注目ください。

青森県立美術館コレクション展2026-2
会期:2026年6月27日(土)~9月27日(日)
休館日:9月14日(月)
開館時間:9:30 – 17:00 (入館は16:30まで)
観覧料:一般 700円(560円)、大学生 400円(320円)、18歳以下および高校生 無料
※( )は団体料金
※心身に障がいのある方と付添者1名は無料
